「借入申込のポイント」シリーズ、随分間が空いてしまい、すみません。気を取り直して再開です。
銀行の融資審査のポイントの続きを始めます。
借入申込する時に、銀行に何をどう説明すればいいのかを考えるヒントとして、銀行がどこに着目して審査しているのかを見ていこうと思います。
銀行の融資審査のポイントの二つ目は、「借りたお金をどうやって返すのか~返済原資の説明」です。
お金を貸す側が気にするのは、貸したお金が何に使われるかとともに、どうやって返してくれるのかということです。
これも設備資金と運転資金で説明すべき内容が異なります。
設備資金の場合は、お金をつぎ込んだ設備がどれだけの売上を生み、どれだけの利益を生むのかという設備投資の事業計画を説明することになります。この設備計画の妥当性についての説明がうまくできるかどうかで融資審査が認可となるか否決となるかが決まるのです。
例えば、お金を借りて工場を建てるとします。その工場で生産する製品がどれだけ売れる見込みなのか、稼働による生産量はどれくらいか、稼働させるランニングコストはいくらか、そして、そのことによっていくら儲かるのか、という説明をつけなければいけないのです。
財務的に言えば、設備資金借入の返済原資は収益と減価償却です。ですから、年間の収益、減価償却がこれだけですから〇年で借入が返せますと説明するのです。「設備投資損益計画書」というような表を作成して示すことになります。
特に、今後の売上がどうなるのか、つまり今後の需要見込みについては、しっかりとした説明が必要です。ここを見誤ると設備の稼働率に直結しますので、所謂空振りをすると一発アウトになる可能性もあります。事業存続にかかわる重大事なのです。
次に、運転資金の場合です。
実は、運転資金の返済は「しなくていい」のです、・・本当は。
なぜなら、運転資金の資金需要の原因は「売上債権ー仕入債務」だからです。
売上額や仕入額、回収条件や支払条件が、変わらなければ必要資金量も変わらないはずです。ですから、今と同じ営業状態が続く限り運転資金というのは基本的に「ずっと必要なもの」なのです。だから「返してしまうとお金が足りなくなるので、コロガシはこうでしょ?」ぐらいは、ちらっと言ってみてもいいかもしれません。財務が分かっている社長との評価を得られるかも。)
そこで出てくるのが、「資金繰り返済」です。資金繰りの中でお金をひねり出して一旦返済して、足りなくなればまた借りるのです。この「資金繰り返済」の説明に必要なのが「資金繰り表」です。半年程度、毎月の資金の出入りの予定を表にして示すものです。月別の売上見込みと支払予想により、このあたりで一旦お金に余裕が出るので返済します、でも、あのあたりでお金が窮屈になるのでまた貸してくださいね、ということを表の中で表現することになります。運転資金借入申込の際には「資金繰り表」の作成、提出は必須とお考えください。
借入の際の返済原資説明だけでなく、普段からの資金管理にも必要なものですから、この「資金繰り表」は、しっかりと作り込むようにしてください。最初は精度が低くても、予定を立てて実績と比べることを続けていくうちに、精度が上がってきます。