2020年12月09日
これからしばらく、融資についてお伝えしていきたいと思います。
まず、融資の種類について見ていきます。
融資については、いろいろな区分の仕方があります。区分と言っても金融機関側で勝手に行っているもので、借りる側からすれば、借りられれば何でもいい訳です。しかし、交渉相手の手の内を少しでも多く知っておくことは、交渉を有利に運ぶためには欠かせないことです。融資のシステム概要を整理して理解しておくことは、金融機関と借入交渉を行う際に、決して無駄にはなりません。
以下、若干長くなりますので、ご存じの部分は飛ばし読みしてください。
①貸出科目による分類
貸出科目としては、商業手形割引、手形貸付、当座貸越、証書貸付等があります。
商業手形割引は、販売先から受け取った手形を銀行に割引いて(買取って)もらうものです。手形期日に手形交換所で決済された資金で返済となります。
手形貸付は、銀行の借入専用の手形に記名押印して、手形額面の金額を借入するものです。手形期日までの借入となりますが、サイト3か月程度の手形を切ることが多く、短期の借入に使われます。
当座貸越は、当座預金の赤残を一定額まで認めるものです。赤残当貸は、本来は一時的な資金不足に備えるものですが、べったり張付いてしまうこともあるので、銀行は積極的には取り上げません。また、個人の総合口座預金にセットされた定期預金に見合う貸越しも当座貸越の一種です。
証書貸付は、金銭消費貸借契約書に記名押印して借入を行うものです。約定返済付きの長期の借入の際に使われます。
支払承諾は、銀行が保証業務を行うもので、やや特殊です。こんなのもあるという程度で結構です。
②融資の権限による分類
支店長の権限内で貸出できるものを店内稟議または部店長権限といいます。各支店毎に、個別案件自体の額や融資先の融資額合計について、融資先の格付に基づいて、部店長権限の金額(枠)が細かく決められています。そして、支店の格と部店長権限枠は比例して大きくなります。つまり大きな支店ほど部店長権限枠が大きいのです。
また、部店長権限の中でも預金担保付融資(預担)は別枠となり、即決でOKですし、信用保証協会の保証付きの融資(協会付)も別枠で、保証がおりれば、ほぼOKです。
なお、これら預担、協会付以外の融資をプロパー融資と呼んでいます。
部店長権限に対するのが、本部稟議または本部権限と呼ばれるものです。こちらは、支店から上げられた稟議を本部(本店)が決裁することによってはじめて融資実行できます。本部の決裁についても、金額により次長決裁、部長決裁、役員決裁等に分かれます。
当然、決裁ハードルの高い順は、役員決裁、部長決裁、次長決裁、部店長権限の順になります。
③新規、継続の分類
新規稟議、増額稟議、継続稟議、折返し稟議という分類があります。
最初の三つは何となく分かると思いますが、「折返し」というのが分かりにくいと思います。これは、約定返済付きの融資について返済が進んだ時点で、金額復活させる融資というイメージです。
まだ、他にも分類の仕方がありますが、続きは後日といたします。
カテゴリ:融資、資金管理コンサルティング