昨日ご説明した様に、要件を満たす方を役員等の候補としたら、続いて具体的な選任手続きに入ります。その選任手続きの注意点を次にまとめました。理事会、評議員会、評議員選任・解任委員会の開催順序やそれぞれに必要な議決事項の整理をしておくことが大切です。
評議員の選任手続について
一般的な、評議員選任・解任委員会で評議員を選任する場合について流れを示します。
①評議員候補者の選任
・理事会にて、評議員候補者の選任を行います。
②評議員選任・解任委員会の招集
・評議員の選任は、評議員選任・解任委員会の議決事項です。
・各法人で作成している評議員選任・解任委員会運営細則等に基づき、評議員選任・解任委員会の招集を行います。( 評議員選任・解任委員会運営細則は理事会の議決により定められます。)
~通常は理事会で評議員選任・解任委員会招集を議決すると定められていることが多いですが、理事長が招集するとの定めもあります。
・特に規定がない場合には、理事会にて招集の決議を行います。
③評議員選任・解任委員会の開催
・評議員選任・解任委員会にて評議員候補者が「社会福祉法人の適正な運営に関する識見を有する者」である旨説明を行い、決議を行います。
・定款で規定された外部委員の人数の出席・賛成が必要です。
④辞任により退任した評議員の任期について
・辞任により退任した評議員は、新たに選任された評 議員が就任するまで、なお評議員としての権利義務を有することになります。
・補欠評議員の選任については、改めて選任の手続きを行う必要があります。
・補欠の評議員の任期は定款によって、任期の満了前 に退任した評議員の任期の満了する時までとすること ができます。
➡ここが、以前説明した評議員の任期統一の際に問題になるところです。
○簡潔に、定款例に準拠した評議員選任の流れも示しておきます。
評議員候補者案の作成 (法人事務局)
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理事会の招集通知 (理事長➡理事・監事)
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理事会の開催 (評議員選任・解任委員会の開催の決議・評議員候補者の推薦)
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評議員選任・解任委員会の招集通知 (理事会で定めた運営方法による)
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評議員選任・解任委員会の開催 (評議員の選任)
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新任評議員からの就任の意思確認
★以上の手続きは評議員選任の正当性を確保するために必要です。
もし手続きに瑕疵があれば、評議員の正当性が担保されず、評議員の選任に係る理事、監事や、その後の法人運営すべてが無効となってしまう危険性があります。(「えーっ、これじゃ評議員が適正に選任されてないことになる!ということは、その評議員が選任した理事・監事や、その後選任された理事長も無効?じゃ、新理事になってからの法人運営も無効になっちゃうの?」などと慌てる場面が、時たまあります。ご注意ください。)
よって、選任の流れをしっかり残すために、理事会、評議員選任・解任委員会の議事録には必要事項を記載して保管する必要があります。
(当然ながら、それらの理事会、評議員選任・解任委員会の開催自体が有効でなくてはなりません。)
★評議員を選任した評議員選任・解任委員会議事録、「えっ?どこ行ったかな?」と探し回ることのないようにしっかりと保管しておきましょう。理事会や評議員会の議事録と違って、普段あまり見返したりしないと思いますので、注意が必要です。
理事・監事の選任について
理事・監事の選任の一般的な流れも見ておきましょう。
①理事候補者の選任
・理事会にて下記の者を含む理事候補者の選任を行います。
(1)社会福祉事業の経営に関する識見を有する者
(2)当該社会福祉法人が行う事業の区域における 福祉に関する実情に通じている者
(3)当該社会福祉法人が施設を設置している場合にあっては、当該施設管理者
②監事候補者の選定
・理事会にて下記の者を含む監事候補者の選任を行います。
(1)社会福祉事業について識見を有する者
(2)財務管理について識見を有する者
・監事の選任推薦議案については、監事の過半数の同意を 得た上で、評議員会に提出すること。
★この同意は、よく漏れます。旧監事と新監事が全く同じ方であっても、旧監事の同意が必要になります。(社会福祉法第43条第3項により準用される一般法人法第72条第1項)同意の記録は理事会議事録に残しても良いのですが、同意書をもらうのが、漏れがなくおすすめです。
③評議員会の招集
・役員の選任は評議員会の議決事項です。
・評議員会の招集は理事会にて行います。
・評議員会の招集にあたっての注意事項
(1)理事会にて評議員会の日時等の議決が必要
(2)招集の議決を行った旨議事録に記載必要
(3)招集通知は評議員全員の同意があれば、省略可能
④評議員会の開催
・評議員会にて理事・監事候補者に各種要件に該当する者が含まれている旨説明を行い、決議を行います。
・議決は各候補者ごとに行う必要があります。
・各候補者ごとに議決を行ったことがわかるよう議事録に記載すべきです。
⑤辞任により退任した理事・監事の任期について
・辞任により退任した理事・監事は、新たに選任された理事・監事が就任するまで、なお理事・監事として の権利義務を有することになります。
・補欠の理事・監事の選任については、改めて選任の 手続きを行う必要があります。
・補欠の理事・監事の任期は定款によって、任期の満了前に退任した理事・監事の任期の満了する時までとすることができます。
○こちらも、定款例に準拠した理事・監事選任の流れを簡潔に示しておきます。
理事・監事候補者案の作成 (法人事務局)
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理事会の招集通知 (理事長⇒理事・監事)
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理事会の開催 (理事・監事候補者の推薦・評議員会の招集決議)
※監事候補者の推薦には監事の同意が必要~しつこいようですが、これ、よくもれます。
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評議員会の招集通知
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評議員会の開催 (理事・監事の選任)
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新任理事・監事からの就任の意思確認
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新理事による理事会の開催(理事長の選任)
★任期満了による役員の選任が行われた際には、新理事による理事会により理事長を選任することとなりますが、その理事長選任に係る理事会については、役員選任の評議員会と同日に開催されることが多いと思います。何度も理事に集まっていただくのは大変ですから当然です。しかし、その場合には、招集通知省略の手続きが必要です。
何故なら、まだ新理事が確定していない一週間前に招集通知を発出することは物理的に不可能だからです。
➡ここも注意ポイントです。